3.36 座標変換
定理 3.146 (座標変換) ベクトル空間 のベクトル に対して, 基底 , , , に おける座標が であり, 基底 , , , に おける座標が であるとする. また, 基底 に対する基底 の変換行列が であるとする. すなわち は
をみたすとする. このとき,
が成立する. これを 座標 から 座標 への 座標変換(coordinate transformation)という.
(証明) ベクトル空間 の任意のベクトル を考える. 基底 , , , のとき の座標が であれば
となる. 基底 , , , のとき の座標が であれば
となる. これらのベクトルは等しいので,
と表される. ここで, 基底 , , , に対する 基底 , , , の 変換行列を とおくとき,
が成り立つので,
を得る. これより, が成り立つ.
例 3.147 (座標変換の具体例) の点 は, 標準基底
における座標で表すと, と 表される. これらの点を 基底
における座標として表す. 基底 から基底 への座標変換を考える. 基底 に対する基底 の変換行列を とおくと, より
となる. このとき座標変換は
☆ ★
と表される. 点 , , より
とおく. このとき座標変換より
と表される. よって 座標 は それぞれ , , となる.また,座標 における直線
を座標 で表す.(☆)を代入すると
を得る.
例 3.148 (座標変換の具体例) において 2 組の基底
とあるベクトル を考える. の基底 における 座標が のとき, は
となる. ベクトル の基底 における 座標 を求める. ここで,
より,座標 から 座標 への 座標変換 を得る. 座標 を得るためには を左から掛けて
を用いる. これに数値を代入すると, ベクトル の基底 における 座標が と得られる.
例 3.149 (座標変換の具体例) のベクトル の 基底 における 座標が のとき, 基底 における 座標 を求める. まず, は であり, と書ける. これらが等しいので,
が成り立つ. は 1 次独立であるから, 方程式
を得る.これを解くと , , となる. よって
と表され,基底 における の座標は となる.
平成20年2月2日