2.15 全微分可能の十分条件
定理 2.67 (全微分可能の十分条件) 関数 において, 偏導関数 , が存在し, かつこれらが連続関数であれば, は全微分可能である. (注)逆は成り立たない.
注意 2.68 (全微分可能の十分条件) 全微分可能となる十分条件は他にもあるが, 上の定理が一番実用的である.
例 2.70 (全微分) 関数 は 偏導関数
が存在し,これらは連続関数である. よって は全微分可能である. また, の全微分は
となる. (注意)微分 , と関数 , , の 書く順を入れ替えてはならない. つまり, や は 誤った表記である.
例 2.71 (全微分) 関数 は 偏導関数
が存在し,かつこれらは連続関数である. よって は全微分可能であり, の全微分は
となる.
例 2.72 (全微分) 関数 は 偏導関数
が存在し,かつこれらは原点を除き連続関数である. よって は原点を除き全微分可能であり, の全微分は
となる. (注意)微分 , と関数 , の 書く順を入れ替えてはならない. また,分母 の部分は微分 , の 前から が掛けられているという意味で あることに注意する. つまり,以下の表記はすべて誤った表記である:
例 2.73 (全微分) 関数 は 偏導関数
が存在し,かつこれらは連続関数である. よって は全微分可能であり, の全微分は
となる.
平成21年12月2日